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仙台高等裁判所秋田支部 昭和35年(ネ)144号 判決 1962年12月19日

控訴人(原告) 小林多代治 外六名

被控訴人(被告) 秋田県教育委員会

主文

本件各控訴を棄却する。

控訴人等の職務命令無効確認の訴を却下する。

控訴費用は控訴人等の連帯負担とする。

事実

第一  控訴人等訴訟代理人等は、「原判決を取り消す。本件を秋田地方裁判所に差し戻す。」との判決を求め、当審において、昭和三六年一〇月五日付書面をもつて請求の趣旨を訂正し、「控訴人等は、被控訴人に対し、別紙(一)記載の『秋田県市町村立学校職員の勤務成績の評定に関する規則』(秋田県教育委員会規則第六号。以下単に本件規則という。)ならびに別紙(二)記載の『教育長の定める勤務評定書の様式』第二表(以下「教育長の定める勤務評定書の様式」を単に本件様式といい、「教育長の定める勤務成績評定書の様式」第二表を単に本件様式第二表という。)により所属学校教諭および免許状を有する講師等の勤務成績の評定をなす義務を有しないことを確認する。」との判決を求め、さらに昭和三六年一一月一八日付書面をもつて訴の変更をなし、「控訴人等と被控訴人との間に別表(一)、(二)記載の各市町村教育委員会が昭和三五年七月頃それぞれ各控訴人および別表(二)記載の各選定者に対してなした本件規則ならびに本件様式第二表の定めるところにより別表(一)、(二)記載の各所属学校教諭および免許状を有する講師等の勤務成績の評定をなすべき旨の職務命令は無効であることを確認する。」との判決を求め、被控訴代理人等は主文第一、二項と同旨の判決を求めた。

第二  当事者双方の本案前の主張および本案についての事実上の主張は、以下に附加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

一  控訴人等の主張

(一)  評定義務不存在確認請求について

1 本案前の主張

(1) 原判決には、控訴人等の勤務成績評定義務の発生原因について釈明権を行使しない違法があるばかりでなく、控訴人等の勤務成績評定義務不存在の主張を勤務評定書提出義務の存否を争うものと認定し判断した点において申し立てない事項について判断をなし、申立事項について判断を逸脱した違法がある(民訴一八六)。

(2) 本訴は各市町村教育委員会が各控訴人および各選定者に対してなした本件規則および本件様式により勤務成績の評定をなすべき旨の下命行為により生ずべき勤務成績評定義務のうち本件規則および本件様式第二表(ただし、(2)出勤状況の欄を除く。以下、別段の断り書のない限り、同様である。)による勤務成績評定義務の不存在確認を求めるものであつて、その存否は控訴人等個人の権利義務に重大なかかわりをもつものである。すなわち、教育は本来学問的である。それは人間形成の場である。だからこそ、思想、良心、学問の自由などの自然権的基本的人権は教育の中でこそ特別に尊重され、保障されなければならないのである。それ故に、教育内容と教育方法とは内的事項であつて行政権は教育者のこの領域に介入してはならないとするのが、近代社会の根本原理からする必然の社会的要請であり、民主主義的教育の根本思想である。このことこそが、憲法に直接由来する準憲法的規範たる教育基本法第一〇条の保障規範としての意味内容であつて、同条は教育の自主、独立性を保障し、そのことは当然に教育に従事する教育者の良心の自由の法的保障を内包する。この良心の自由は公の権利であると共に、公務員個人に帰属する権利である。校長は教育行政の執行の補助を命じられる職務をあわせてもつことを否定しないが、基本的職務たる学校の教育運営については自治的教師集団の一員である。したがつて、教育基本法第六条第二項の「教員」であり、教育公務員特例法第二条に定義する教育公務員であるから、教員に保障された職務の独立と良心の保障を享有する権利主体である。本件勤務評定命令は、その内容において個々の教員の教育の自由を侵犯し、ひいてはかかる自主性を前提として成立している学校教育運営の民主的、自治的集団秩序を侵犯し、小、中学校の校長として教育運営の指導、助言を本務とする控訴人等の職務の独立性と教育者としての良心の保障に重大なかかわりをもつものである。右勤務評定命令は職務命令の形式でなされているが、それが客体たる公務員の権利にかかわる限り、行政処分としての実質的評価になんらの支障はない。

(3) 被控訴人は被控訴人の当事者適格を争うのであるが、不当である。地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下単に地方教育行政法という。)第四六条は地方公務員法第四〇条の特例であり、市町村立学校教職員については任命権が県教育委員会にあり(地方教育行政法三七)、服務監督権は市町村教育委員会にある(同法四三)ことに即応して、勤務評定の内容の決定と実施の責任を両行政庁に分割したものである。したがつて、被控訴人の勤務成績評定に関する計画決定は市町村教育委員会の実施命令をまつて控訴人等の法律上の地位に影響を及ぼすものであるが、命令の内容は被控訴人の計画権にもとづく措置によつて確定されているのであるから、両者は一体的な関連性をもち、同時にその適法性を審判さるべきものと信ずる。なぜなら、被控訴人の一般的計画処分のみではいまだ控訴人等の法律上の地位に影響がなく、これを直ちに争うことができない。かえつて、市町村教育委員会の命令は控訴人等の地位に影響を及ぼすものではあるが、その内容においては結局被控訴人の計画権に拘束されているからである。したがつて、本訴においては、厳密には、市町村教育委員会の下命行為のみではなく、被控訴人が地方教育行政法第四六条に定める計画権にもとづき校長を評定者と定め(本件規則六)かつ、本件様式を決定示達した一般処分(とくに、本件様式第二表に関する部分について)をもあわせて対象とし、両個の行政処分を一体としてその効力を争うものであり、講学上変形的抗告訴訟の類型に属するものである。ところで、行政事件訴訟特例法第三条が行政庁を被告とした趣旨は、当該行政処分の経過処理を敏速、円滑、自在に行わしめんとする訴訟経済の要請にもとづくものであるから、この要請に反しない限り、直接の処分庁以外の関係行政庁を被告とする場合にも、類推適用さるべきものと思料する。しかして、右のように本件は両行政庁の行政処分を一体として争う必要のある場合であつて、しかも被控訴人は行政処分の瑕疵の部分につき実質上の処分庁であるから、被控訴人は本訴の当事者としての適格性を有する。

2 本案についての主張

(1) 本件規則は昭和三五年四月三〇日公布され、同規則の委任にもとづく本件様式も同日各市町村教育委員会に通達され、各市町村教育委員会は同年七月および八月頃までに各控訴人および各選定者に対し各勤務評定の実施命令(職務命令)をなしたので、その実施命令により生ずべき勤務成績評定義務のうち、本件規則および本件様式第二表による評定をなす義務の存在しないことの確認を求める。

(2) 右命令はつぎの理由により違憲、違法であつて無効であるから、その命令により生ずべき勤務成績評定義務は存在しない。

イ 本件命令たる勤務評定は、法の要求する勤務評定の要件をみたさない。勤務評定は人事の公正な基礎の一つとするためになされるもので、勤務成績をその官職の職務遂行の基準に照らして評定するものである。しかるに、本件の職務命令は教員の職務遂行の基準を明らかにせずして(事実上不能であるためであるが)、教員の勤務評定を行わんとするものであつて、到底法の要求する要件をみたすものではない。これを強行することは教育公務員の利益に反し違法である。

ロ 勤務評定は不可能である。教育の職務は、本来的にその内容を分析し、基準を立てることを不可能とする。また、個性的な仕事であるから、その実績の第三者による段階評価に親しまないものである。

ハ 本件命令は、憲法第一九条、第二三条、第二六条、教育基本法第一条、第二条、第六条および第一〇条の精神に違反し、違憲、違法である。教育権の独立は憲法および法の保護するところであるが、本件命令はこれを侵犯するものであり、その瑕疵は重大かつ明白である。少なくとも重大であるから、無効であると信ずる。それは、本件様式および本件命令が憲法および準憲法的規範たる教育基本法に違反するので、明白性の要件をみたすことがなくても、憲法第九八条第一項、地方自治法第二条第一五項により当然に無効となるものと解されるからである。

(二)  無効確認請求について

控訴人等および別表(二)記載の選定者は別表(一)、(二)記載の各所属学校の校長であるが、別表(一)、(二)記載の各市町村教育委員会は昭和三五年七月頃それぞれ各控訴人および別表(二)記載の各選定者に対して本件規則および本件様式第二表(この場合には、(2)出勤状況の欄を含む。)の定めるところにより別表(一)、(二)記載の各所属学校教諭および免許状を有する講師等の勤務成績の評定をなすべき旨の職務命令を発したが、当該職務命令は既述の理由により無効である。被控訴人は被控訴人には被告適格がけん欠している旨抗弁するが、被控訴人は(一)の1の(3)記載の理由と同一の理由により被告適格を有するから、右被控訴人の抗弁は理由がない。

二  被控訴人の答弁および抗弁

(一)  評定義務不存在確認請求について

控訴人等の主張に係る職務命令は違憲、違法とはいえない。いわゆる勤務評定は事実上、法律上不可能であるとは考えられないし、これが憲法第一九条、第二三条、第二六条、教育基本法第一条、第二条、第六条、第一〇条に違反するとなすこともできない。したがつて、右職務命令には重大にしてかつ明白な瑕疵はないので、これを無効となすことはできない。

(二)  無効確認請求について

控訴人等が昭和三六年一一月一八日付書面をもつてなした訴の変更は、請求の基礎に変更があるから、許されない。仮に右訴の変更が許されるものとしても、控訴人等の新請求は市町村教育委員会のした職務命令の無効確認を求めるものであるから、当該職務命令をなした市町村教育委員会がその被告適格を有し、被控訴人はこれを有しないので、控訴人等の職務命令無効確認の訴は却下さるべきである。本案については、控訴人等主張の別表(一)、(二)記載の事実は認める。

理由

まず、控訴人等のなした訴の変更の適否について判断する。控訴人等は、原審において、本件規則およびその委任にもとづく本件様式は違憲、違法であつて無効であるから、右規則および様式により生ずべき勤務成績評定義務は存在しないことを理由として本件規則および本件様式第二表による評定を行う義務の不存在確認を求めると陳述し、「控訴人等が、控訴人等所属学校教諭等につき、本件規則およびこれにもとづく評定書に定める勤務評定をなす義務を有しないことを確認する。」との判決を求めたもので、その趣旨は本件規則および本件様式第二表を基本として生ずべき現在および将来の評定義務不存在確認を求めるものと解すべきところ、当審において、事実の部第一に記載のとおり昭和三六年一〇月五日付書面をもつて右請求の趣旨を訂正すると共に、評定義務は特段の職務命令なくして本件規則および本件様式にもとづき当然に生ずるとの従来の主張を訂正し、評定義務は市町村教育委員会の職務命令によつて生ずるものであるが、市町村教育委員会が各控訴人および各選定者に対し昭和三五年七月および八月頃までになした本件規則および本件様式による勤務成績の評定をなすべき旨の職務命令も違憲、違法であつて無効であるから、当該職務命令により生ずべき評定義務のうち本件規則および本件様式第二表による評定義務の不存在確認を求める旨補足陳述し、不存在確認を求める評定義務の範囲を減縮し、その限度で評定義務不存在確認請求の一部を取り下げ、弁論の全趣旨によると被控訴人はこれに同意したものと認められるところ、昭和三六年一一月一八日付書面をもつて訴の変更をなし、事実の部第一に記載のとおり請求趣旨のみを変更して右職務命令の無効確認を求めるにいたつたのであるから、控訴人等は先には本件規則および本件様式ならびに右職務命令の無効を理由として評定義務不存在確認を求め、後には同一の理由のもとに右職務命令のうち控訴人等および別表(二)記載の選定者に関するものの無効確認を求めるものであつて、前の請求と後の請求とはその理由を同一にするのであるから、請求の基礎に変更のないことは明らかであり、また右訴の変更により著しく訴訟手続を遅滞させるものとも認められないから、右訴の変更は適法であつて、当然許容さるべきものといわねばならない。

しかして、右訴の変更は、弁論の全趣旨によると、控訴人等および別表(二)記載の選定者に関する限りでは、評定義務不存在確認請求と交換的に職務命令無効確認請求を提起し、評定義務不存在確認請求を取り下げる趣旨と認められるが、その取下について被控訴人の同意がないから、その評定義務不存在確認請求もなお当審における審判の対象として維持せられているものと認むべきである。

そこで、評定義務不存在確認の訴の適否をみるに、この訴は本件規則および本件様式ならびにこれにもとづく市町村教育委員会の職務命令がいずれも無効であることを理由としてその職務命令により生ずべき勤務成績評定義務のうち本件規則および本件様式第二表により評定をなすべき義務の不存在確認を求めるものであるから、公法上の権利関係の存否の確定を求めることに帰し、いわゆる公法上の当事者訴訟に属するものと解すべきである。控訴人等は右訴は変型的抗告訴訟の類型に属すると主張するが、本訴がいわゆる抗告訴訟に属しないことはもちろん、行政処分の無効の確定を求めるものではないから、行政処分の無効確認訴訟ともいえず、本訴を抗告訴訟に準じて取り扱うことは相当ではない。したがつて、本訴における当事者が当事者能力を有するかどうかについては、行政事件訴訟特例法第三条の準用の余地なく、同法第一条により民事訴訟法の定めるところにしたがうべきところ、被控訴人は秋田県教育委員会であつて本来権利能力のない行政庁であるから、本訴においては当事者能力を有しないものというべく、控訴人等の右訴は不適法として却下を免れない。

なお、控訴人等は原判決には申し立てない事項について判断をなし、申立事項について判断を逸脱した違法があると主張する。原判決の理由中には、控訴人等が主張するように、「本件勤務評定書を提出すべく命ぜられたのに対し、その提出義務がないとして、職務上の義務の存否を争うものであり、控訴人等の個人としての権利義務、いわゆる権利主体としての権利義務にはなんらかかわりがないものというべきである。」との説示が存するが、原判決は控訴人等の勤務成績評定義務不存在確認の訴を却下したものであつて、勤務成績評定書提出義務不存在確認の訴を却下したものでないことは原判決に徴し明白であるから、原判決理由中の説示の当否はともあれ、原判決は控訴人等の申し立てた事項について判断を加えたものというべく、右控訴人等の主張は採用の限りではない。さらに、控訴人等は原判決には評定義務の発生原因について釈明権不行使の違法があると主張するが、控訴人等は原審において「市町村教育委員会が勤務評定を実施することになれば、特段の職務命令が発せられなくても、定期に評定をなすべき義務が具体的に発生していることになる。時宜に応じて評定書の提出命令が発せられるとしても、規則等の文理解釈からすれば、これは評定義務の発生要件ではない。」と主張し、しかも法律専門家たる訴訟代理人弁護士を通じてそのように主張しているのであるから、その主張がたとえ原審の正当と信ずる見解と異なつているとしても、釈明義務は右控訴人等の主張の瑕疵の補完を促すことにまでは及ばないと解するのが相当であるから、右主張は失当である。

つぎに、控訴人等の職務命令無効確認の訴についてみるに、被控訴人は被控訴人には被告適格がない旨主張する。右無効確認の訴については行政事件訴訟特例法第三条の準用があるものと解すべきであるから、右職務命令の効果が帰属すると認められる地方公共団体のほか、同条にいう「処分をした行政庁」すなわち処分庁も被告適格を有する。

そこで、被控訴人が処分庁にあたるかどうかを考えるに、控訴人等において無効確認を求める処分は、被控訴人が秋田県市町村立学校の県費負担教職員の勤務成績評定に関し制定した本件規則およびその委任にもとづく本件様式にもとづいて別表(一)、(二)記載の各市町村教育委員会がそれぞれ昭和三五年七月頃各控訴人および別表(二)記載の各選定者に対してなした本件規則および本件様式第二表(この場合には、(2)出勤状況の欄を含む。)の定めるところにより勤務成績の評定をなすべき旨の職務命令であるところ、地方教育行政法第四六条、第三七条第一項、第一六条第二項、第三項に徴すると、市町村教育委員会は、都道府県教育委員会が市町村立学校の県費負担教職員について画一的に定めた勤務成績評定の時期、方法、基準その他の計画のもとに、その職員に対する勤務成績の評定を実施すべきものとされているのであるから、本件職務命令は右市町村教育委員会が法律により直接付与された勤務成績評定実施権限にもとづきなした処分と認むべく、処分庁は右市町村教育委員会であつて、被控訴人ではないというべきである。控訴人等は、本訴は右職務命令のみではなく、被控訴人が地方教育行政法第四六条の計画権にもとづき校長を評定者と定め、かつ、本件様式を決定示達した一般処分をもあわせて対象とし、両個の行政処分を一体としてその効力を争う必要のある場合であつて、しかも被控訴人は行政処分の瑕疵の部分につき実質上の行政処分庁であるから、行政事件訴訟特例法第三条を被控訴人に類推適用し、その被告適格を肯定すべきであると主張するが、控訴人等は本件無効確認の訴において、職務命令の無効であることの確定を求め、その理由として、職務命令の前提たる本件規則および本件様式が違憲、違法で無効であり、かつ、職務命令も違憲、違法で無効であると主張するのであるから、本件規則および本件様式の無効は本訴請求たる職務命令無効確認請求を理由あらしめる事由にすぎず、また本件規則および本件様式は市町村教育委員会において実施すべき勤務成績評定の準則を定めるにとどまるのであつて、かような本件規則および本件様式を制定した被控訴人を実質上の処分庁となすことは相当ではなく、行政事件訴訟特例法第三条を類推適用して被控訴人の被告適格を肯定することは許されないものと解する。したがつて、本件無効確認の訴について被控訴人には被告適格がないから、右訴は不適法として却下すべきである。

よつて、控訴人等の本件評定義務不存在確認の訴を却下した原判決は以上認定と結論を同じくし相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴人等の本件無効確認の訴は不適法であるから、これを却下することとし、訴訟費用の負担について民訴法第九五条、第八九条、第九三条第一項ただし書を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 林善助 石橋浩二 佐竹新也)

別紙(一)

秋田県市町村立学校職員の勤務成績の評定に関する規則をここに公布する。

昭和三十三年四月三十日

秋田県教育委員会

委員長 高橋一郎

秋田県教育委員会規則第六号

秋田県市町村立学校職員の勤務成績の評定に関する規則

(趣旨)

第一条 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第四十六条の規定に基く市町村教育委員会の行う県費負担教職員(以下「職員」という。)の勤務成績の評定(以下「勤務評定」という。)は、この規則の定めるところによる。 (実施の範囲)

第二条 勤務評定は、臨時的任用の者及びその他県教育委員会教育長(以下「教育長」という。)の指定する者を除き、すべての職員について実施するものとする。

(種類及び実施の時期)

第三条 勤務評定は、定期評定、条件評定及び臨時評定とする。

2 定期評定は、毎年九月一日に実施するものとする。

3 条件評定は、条件付採用期間中の職員について、当該職員の条件付採用期間開始後五月を経過した日に実施するものとする。

4 臨時評定は、県教育委員会(以下「教育委員会」という。)又は市町村教育委員会が特に必要があると認める職員について随時これを実施するものとする。

(実施の時期の特例)

第四条 教育長は特別な事情あるときは、前条第二項又は第三項の規定による定期評定又は条件評定の実施の時期を変更することができる。

(評定の期間)

第五条 評定に当つて考慮する勤務期間(以下「評定期間」という。)は、教育長が定める。

(評定の実施)

第六条 評定者及び評定の調整を行う者(以下「調整者」という。)は、次のとおりとする。

被評定者

評定者

調整者

校長

市町村教育委員会教育長

教諭、養護教諭、助教諭、養護

助教諭、講師、事務職員

職員の所属する学校の校長

市町村教育委員会教育長

2 評定者及び調整者は、教育長の定める勤務評定書によつて評定又は調整を行い、その結果を市町村教育委員会に提出するものとする。

3 市町村教育委員会は勤務評定を実施したときは、実施の日から三十日以内に教育長の定めるところにより、教育委員会に報告しなければならない。

4 勤務評定の結果は秘密の事項として取扱わなければならない。

(評定書の効力)

第七条 勤務評定書は当該評定期間中の職員の勤務成績を示すものとする。

2 勤務評定書は新たに報告書が作成されるまでの間、当該評定期間に引続く期間におけるその職員の勤務成績を示すものとみなす。

ただし、その期間は二年間を限りとする。

3 勤務評定書は二年間保管するものとする。

附則

1 この規則に定めるもののほか、勤務評定の実施について必要な事項は教育長が定める。

2 昭和三十三年の定期評定は、第三条第二項の規定にかかわらず九月二十日に実施するものとする。

3 この規則は、公布の日から施行する。

別紙(二)、(三)、(四)、別表(一)、(二)<省略>

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